アステリズムに願いを・・・

　蛍光したりシャトヤンシー（キャッツアイ効果）が出たりと
石によって思いがけない効果が見られますが、今日は星が見える効果を持つ石

スタールビー

のお話です。



　赤色のコランダムをルビーと呼ぶのはご存知の通りですが、
このルビーはルチル（酸化チタン）がシルクインクルージョンとして
内包されているのが一般的だそうです。
　シルクインクルージョンとは針状の結晶が石に内包されているのですが、
幾重にも見える針状の結晶が絹の糸束状のように見えたり
薄絹の様に見えるところから由来しています。
このシルクインクルージョンはルビーの優劣に関係なく内包されていますが、
この内包物が綺麗な６条の星をカボション面に作り出しているのです。

　この効果は石の同一平面内で互いに１２０度で交差する三方向に
伸びている針束状のルチルを上から（面に対し垂直に）見た場合に
交差した束が星に見えるのです。
この特殊な効果をアステリズム（星状光彩）と言います。
この効果はコランダム系をはじめとして水晶やざくろ石、スピネルなど
石によって本数が４本から最大１２本までと様々ですが見ることが出来るようです。
ちなみにルチルの束が１本の場合はシャトヤンシー（キャッツアイ効果）となります。

　ただ、スタールビーのアステリズムは
同じコランダムのブルーのスターサファイアで見られるアステリズムとは違い
非常にデリケートなのだそうです。

　スターの出方が強くなるほどルビー本体の透明度は低くなり、
逆に澄んだ綺麗な赤い色の石を求めればスターが貧弱になってしまうからです。
この様な状況の中で絶妙なバランスの石を探すのは至難の業でしょう。

　加えてカボションに研磨された石の中心と星の中心が一致して、
中心部から伸びる６条の光がいずれも同じ強さである石を探すとなると・・・・orz
全く見当違いのカットでも星は見られませんし、
星が見えても石の中心からズレていると正直あまり綺麗とは言い難いですし、
意外と気難しい星なのかもしれません・・・。

　でも、万が一絶妙～なバランスの綺麗なスタールビーに出会った日には、
非常に幸運であると言って良いかもしれません。
スターだけに流れ星にしっかり３回願いを唱えて願いが叶った感じでしょうか？
時々、リンデンスタールビーやリンデンスターサファイアと呼ばれる石を見かけます。
これはとても綺麗なバランスで星を見ることが出来ますが、残念な事に合成石です。

　リンデンスターの様に綺麗な星が見える天然の石が数多く存在するなら
とても嬉しい限りですが、流石に自然の賜物なのでそうは行かないですよね。