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蛍の光 [天然石]

 昨日は蛍光する石、ダンビュライト(ダンブリ石)のお話でしたが、
今日は蛍光する石で忘れちゃいけない石、

フローライト(蛍石:ほたる石、旧名フロースパー)

のお話を書こうと思います。

 フローライトはカルシウムとフッ素の化合物で、広範囲で産出されます。
さいころのような直方体や八面体といった明瞭な結晶の形をし、
(八面体はどちらかと言うと珍しいようです)
紫、緑、黄色等の様々な色調を示します。
時には2色以上が斑模様になっていたり層状になっていたりと
面白い模様が見られることもあります。

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 このフローライトは蛍光することで有名です。
紫外線照射時に可視光(目に見える光)を発する蛍光現象は、
フローライトで最初に発見されました。
そのため、蛍石の英名であるフローライトをもとに、
蛍光現象をフローレッセンスと呼ぶようになったそうです。

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 ちなみに、フローライトの名前の由来は”流れる”を意味するラテン語の”fluere”
金属を精錬する時のフラックス(融剤とか溶剤)として用いた時に
簡単に融けることに関係しているそうです。
なお、旧名のフロースパーは、
今日では工業原料となる塊状集合体を表す言葉として用いられています。

 フローライトは硬度が4と比較的軟らかく傷が付きやすいので
宝石としての用途は限られています。
劈開が完全で脆い性質を持ちますが、主としてコレクター用にカット・研磨されます。
(カボションカットしたものは時として表面を傷から守るために水晶でカバーすることもあるとか。)
古代エジプトでは彫像やスカラベ(タマオシコガネ、フンコロガシ)の彫刻に使われたり、
中国では彫刻の素材として300年以上の歴史があったりと太古から活躍しています。

 一方工業や化学の分野でも頑張っています。
製鋼のためのフラックス、フッ化水素酸製造の原料、
ハイオクタン燃料(ハイオクガソリン等)合成の触媒等として利用されたり、
フライパンのテフロンコーティングを作るために使われたりetc・・・

さらには18世紀には粉末にして水に溶かしたものが
腎臓病の症状緩和の目的で使われたりと八面六臂の活躍をしています。
きっと周りを見渡せば、あちこちにフローライトが関係している製品があるのでしょうね。

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 さて、フローライトは広範囲で産出されると書きましたが、
その中でもアルプス地方で産出されるピンク色の蛍石は希少価値が高いそうです。
モンブラン産のピンク色のフローライト(モンブランフローライト)を画像で見ましたが、
とても優しくて上品なピンク色をしていました。
エメラルドステップカットのフローライトに思わず目が奪われましたが、
お値段を見た瞬間硬直、見るだけに留まりました(苦笑)・・・・流石に稀少だけあります。

 また、あまり見かけない色味としては赤いフローライトと言うものもあるのですね。
こちらもトリリアントカットのルースを画像でのみ見ましたが、
レッドアンデシンの色を気持ち淡くしたような色味の赤い石でした。
普段紫や緑等のオーソドックスな色味しか見ていないので、
ピンクもレッドの2色のフローライトにはびっくりしましたが、新鮮でもありました。

 お値段で玉砕したピンクのモンブランフローライトは売り切れになってしまいましたが、
レッドフローライトは2つ販売されていました。
値段をみると手の届く範囲内なので(モンブランフローライトの約7分の1のお値段)
いつかお迎えできると良いな~と願っています。
売り切れないで欲しいですわ・・・・。

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