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アールデコ様式 [宝石・ジュエリー]

 今日は

マーカサイト(Marcasite:白鉄鉱)

についてのお話です。

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マーカサイトはパイライト(黄鉄鉱)と同じ硫化鉱物です。
2つの化学組成はFeSと同じなのですが、
マーカサイトは

斜方晶系(長さの異なる3本の結晶軸が90度で交差している)

パイライトは

正方晶系(同じ長さの3本の結晶軸が90度で交差している)

と結晶系が異なります。
(この様に同じ化学組成で結晶構造が異なる現象を多形と言います。)
酸性の水溶液が粘土、石灰岩、チョークなどの地層を通り、
地下へ浸透していく場合に比較的地表に近い場所に沈殿し形成されるそうです。
 2つの鉱物はいずれも金色をしていますが、
マーカサイトの方がパイライトよりも淡い金色です。
ただ、空気に触れると酸化して黒っぽくなってしまいます。
さらに、パイライト同様湿気の多い場所だと水と反応して硫酸を作るとか・・・。

 アクセサリーになったマーカサイトってしょっちゅう外気に触れているので、
これから先はどうなってしまうのだろう・・・と少々不安ですーー;

 ところで、マーカサイトの名前は

”黄鉄鉱のような見かけの鉱物”

を示すアラビア語またはムーア語に由来しているそうです。
確かに金色だからよく金に間違われたのでしょうね・・・。
さすがにパイライトのように”愚者の金”とまでは呼ばれなかったようですが、
石にとっては不本意だろうな~・・・。

 ちょっとかわいそうな名前の由来を持つマーカサイトですが、
結晶形態は多様で、鳥のトサカ状の集合体や双晶、
繊維状結晶が放射状に集合したノジュール等の他、
塊状、鍾乳状、腎臓状の集合体も作るようですが、
一般的には柱状晶と板状晶が特に多いようです。

 私はまだカットされたものしか見たことが無いのですが、
どこかでふと出会う事を楽しみにしています。
その時はパイライトと一緒にきっちり保管ですわ^^

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 ちなみに、このマーカサイトはアールデコ様式の宝飾品によく使われています。
私が持っているリングはアールデコ様式では無いと思いますが、
唐草模様風のハートモチーフに約1mmのマーカサイトが数粒。
ちりばめられているとまではいかないのですが、
マーカサイトがセットされていることによってどことなくクラシカルな雰囲気に見えます。

一見ヘマタイトに見えたりしますが、角度によってほのかに金色が見えます。
ちょっと黒味の強い”いぶし金”という感じでしょうか?
少々金属質な輝きが落ち着いて見えます。

 ・・・この様な石の雰囲気からなのでしょうか?
後期ビクトリア時代(1870~1901年)にはジェット(Jet:黒玉)と並んで哀悼の意を表す宝石として使われたそうです。
でも、現在は喪の場合はパールを身に付けている方が殆どですよね。
光る物は避けるというのが慣例ですので、
金属質のマーカサイトはこの慣例にそぐわないのかもしれません。

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