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高温スカルンとは? [雑記]

 スパー石の部分で高温スカルンが少々でてきましたが、
今日はその高温スカルンについてちょっと書こうと思います。
でも、いきなりこの話からだと何ですので、最初は

スカルン(skarn)

のお話から書こうと思います。
このスカルンとは

石灰岩や苦灰岩などの炭酸塩岩中に花崗岩などのマグマが貫入してきた際、
その接触部付近にできる鉱物の集合体(変成岩)

で、カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウムなどに富む
珪酸塩鉱物(スカルン鉱物)ができます。
マグマから珪酸や鉄、アルミニウムなどが石灰岩の方に移動し、
石灰岩中のカルシウムと反応して鉱物ができるわけです。

 主なスカルン鉱物としては、

珪灰石(Wollastonite;ウォラストナイト)、灰鉄輝石(Ilvaite;イルバイト)
透輝石(Diopside;ダイオプサイド)、
灰礬ザクロ石(Grossular;グロッシュラー)、
灰鉄ザクロ石(Andradite;アンドラダイト)、透閃石(Tremolite;トレモライト)、
金雲母(Phlogopite;フロゴバイト)

等があります。
 なお、物質の移動には直接浸透と熱水の介在による移動が存在し、
熱水の影響が大きい場合は変成はしばしば広範囲に及びます。
また、マグマの熱により、石灰岩は結晶質石灰岩に変わります。

 ちなみに、スカルンという言葉はもともと、スウェーデンの鉱山用語だそうで、
前述のカルシウムやマグネシウム、アルミニウム、鉄などを主成分とする
珪酸塩鉱物の集合体を指したものだそうです。

 ・・・さて、それでは高温スカルンとは一体どのような物なのでしょうか?
高温スカルンは

花崗岩の固結温度よりも高い温度で生成されたスカルン

の事を指します。
その温度とは少なくとも800度前後、あるいはそれ以上の温度だそうで、
花崗岩の固結温度が500度前後だと考えられているので
かなりの高温下で生成されている訳です。

 そのような中で生成される鉱物は非常に珍しい石で、
過日ご紹介しましたスパー石をはじめとして

ゲーレン石、ティレー石(スパー石内に含まれている)、
スコート石、フォッシャグ石、ゾノトラ石(3石はいずれもスパー石の変質物)、
ヒレブランド石(スパー石と熱水が反応して生成)等など・・・

普段自分がお目にかかれないような石が産出されます。
他に、日本で発見されて新鉱物として認可された

備中石、布賀石、大江石

も高温スカルンの仲間になります。
高温スカルンの産地としては岡山県備中町布賀が有名なのですが、
この地域では造岩鉱物を含めて約80種類以上の鉱物が確認されているそうです。
もともと日本は火山活動によってできた土地なので、
こうした様々な石が形成されるのも不思議ではないですよね。

 この様なお話を知るとハンマーなどを持って採集に行ってみたい気持ちになりますが、
採集禁止の場所が多くなりつつある昨今だしなぁ・・・--;ゞ
もう少し、採集する人がマナーを守っていれば、
採集禁止という事にはならないのになぁ・・・と残念で仕方がありません。

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optimist

私も本格的な採集はした事が無いのですが、聞き及ぶ限りでの産地の荒廃や採取禁止措置等は悲しい事です。
後進のためにも、マナー良く節度を持った採集をして行きたいですね。
by optimist (2008-09-24 22:43) 

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